とても簡単な日本語のあいさつから、深く考えてみる
どうもありがとうございます。
ありがとうございます。
ありがとう。
どうも。
この四つはすべて感謝を表す言い方です。日本人がよく言う音としては、「ありがとうございまー」のように聞こえることもあります。
知らない人に助けてもらったときは、「ありがとうございます」と言えばよいと思います。買い物や飲食店でサービスを受けたとき、店員さんに対しては、場面によっては「ありがとう」でも自然だと感じます。
何でもかんでも非常に丁寧な形で言えばよいわけではありません。むしろ不自然になることもあります。現地の日常生活の流れを理解し、その自然な人間関係や場の空気を、必要以上にぎこちなくしないことも大切だと思います。
知っている人や友人に対しては、「ありがとう」や「どうも」で十分なことも多いです。
日本には高齢者が多く、外に出ると、かなり年配の方が自分で車を運転したり、さまざまなことを自立して行ったりしている姿をよく見ます。外出中に、誰かが本当に手助けを必要としていそうな場面に出会ったら、いきなり手を出すのではなく、まず「だいじょうぶですか。おてつだいしましょうか」と声をかけたほうがよいと思います。
先進国では、多くの人が比較的自立した個人として生活しています。相手の独立や自由を尊重することを第一に考えるべきで、「自分は相手のためにやっている」という考え方を、何でも正しいことのように扱わないほうがよいと思います。
ございます
よく使うあいさつは、たいてい日本語を学び始めてすぐ覚える表現です。たとえば上で書いた「ありがとうございます」や、「おはようございます」などです。
少し注意して見ると、こうした言葉の中には、後で学ぶ知識がたくさん含まれています。
今回は「ございます」について考えます。なぜこの言葉はいろいろな文の後ろに出てくるのか。そして、あるときは言い、あるときは言わなくてもよいのでしょうか。
実は ございます は あります の敬語表現です。まずここが一つの知識です。
漢字で書くと「御座います」です。こう見ると動詞らしく見えます。辞書形は「御座う」なのかな、と考えたくなります。でも、漢字二文字に「う」が付く動詞の辞書形は、先生から聞いた常識とは少し合わない気もします。さらに「ある」の敬語だと考えると、「御座る」のほうが自然に見えます。
調べてみると、確かに「御座る」でした。では、ます形は「御座ります」になるはずではないか。なぜ「ございます」なのか。
どうやら昔に音の変化が起きたようです。たしかに実際に口に出してみると、「ございます」のほうが言いやすく、音としてもなめらかです。
中国語にも似た現象があります。たとえば「凯旋而归」という表現です。意味を分解すると少し変です。「凯旋」自体に帰ってくる意味が含まれているのに、さらに「而」で「归」をつなげています。もともとは「凯旋归来」だったのかもしれません。ただ、正直に言うと、「凯旋而归」のほうが言いやすく、少し勢いもあります。
お休みなさい
「晚安」は日本語で「お休みなさい」または「お休み」です。日本語を学び始めたころ、授業が終わるたびに先生が「休みましょう」と言っていました。
アルバイト中にも休憩時間があります。働き始めたころ、日本人の同僚が私に「きゅうけい」と言いました。まだその言葉を知らなかったので、休むことだろうとは想像できましたが、「やすみですか」と聞き返しました。すると同僚は少し戸惑った顔をして、「休憩」と書いて見せてくれました。
後になって分かったのは、「休憩」と「休み」は、たとえば「授業の合間の休み時間」と「休暇」の違いに近いということです。先生が授業の合間の休憩を言っているのに、同級生に「休暇だ!」と言ったら、相手はきっと変に思うでしょう。そう考えると、当時の同僚が戸惑った理由も理解できます。
言語を学ぶとき、見た目はとても簡単なことでも、なぜそう言うのかを考える価値があります。